スマホ用語解説『MIMO』


Wi-Fiやデータ通信を高速化する技術として目にすることが多いこの用語ですが、皆様はどういった仕組みなのかご存知でしょうか?
私の体感では『無線通信を高速化する技術の1つ』ぐらいの認識の方が多そうです。ということで今回はMIMOを解説していきますので、この機会にザックリと覚えてしまいしましょう!

MIMOとは

MIMO-multi input and multi outputの略称でミモではなくマイモと読みます。
送信機側と受信機側の両方に複数のアンテナを搭載し、データを同時伝送する事により無線通信の速度を向上させる技術の1つである。
送信側がマルチアンテナであっても受信側がシングルアンテナである場合はMISO、送信側がシングルアンテナで受信側がマルチアンテナの場合はSIMOと、送信側と受信側のアンテナの数により下記のように通信数が縮退します。

SISO (single input and single output)
送信機・受信機共にシングルアンテナ

SIMO (single input and multi output)
送信機がシングルアンテナで受信機がマルチアンテナ

MISO (multi input and single output)
送信機がマルチアンテナで受信機がシングルアンテナ

MIMO (multi input and multi output)
送信機がマルチアンテナで受信機もマルチアンテナ

※送信機能⇒送信路⇒受信機という流れなので、送信路からみてinput・outputとなります

通信が速くなる仕組み

MIMOでは同時に送信するストリーム(連続したデータの流れ)の数をレイヤと呼び、その仕組みは『道路の多重化』に例えられる事が多い。
『1本の道路の上にもう1本の道路を作れば交通量が量が増える。更に多重化すれば交通量をもっと増やせる』という感じでイメージしていただければ分かり易いと思います。

スマホで用いられるMIMO

ここまではMIMOの簡単な概要を説明しましたが、ここからはスマホのスペックシート等でよく見掛けるMIMOを簡単に解説していこうと思います。

2×2MIMO(ツーバイツー マイモ)

送信側アンテナ数2、受信側アンテナ数2のMIMO。
2016年秋以降4×4MIMOが各キャリアでサービス開始されましたが、それ以前の従来のLTEは基地局側2、端末側2の2×2MIMOとなります。

3×3MIMO(スリーバイスリー マイモ)

送信側アンテナ数3、受信側アンテナ数3のMIMO。
2015年第1世代(Wave1)IEEE 802.11ac(Wi-Fi5)において256QAMと組み合わせる事で下り最大290Mbps-1.3Gbps(理論値)を実現。

4×4MIMO(フォーバイフォー マイモ)

送信側アンテナ数4、受信側アンテナ数4のMIMO。
2016年秋以降各キャリアが基地局側アンテナ数4、端末側アンテナ数4の4×4MIMOと256QAM・CA(キャリアアグリゲーション)を組み合わせたLTE-Advancedサービスを開始し、MU-MIMOにも対応した。
2020年4月時点では下り最大1Gbps(理論値)以上のデータ通信を実現している。

8×8MIMO(エイトバイエイト マイモ)

送信側アンテナ数8、受信側アンテナ数8のMIMO。理論上4×4MIMOの2倍、2×2MIMOの4倍の速さとなる。
2020年4月現在では第2世代(Wave2)IEEE 802.11ac(Wi-Fi5)において256QAMと組み合わせる事で下り最大6.9Gbps(理論値)を実現。
今後は基地局側8、端末側8の8×8MIMOがLTE-Advancedや5G通信で商用化されて行くと思われます。

MU-MIMO(マルチユーザー マイモ)

Multi User MIMOの略称。『1対1』で送受信を行うシングルユーザーMIMOに対し、MU-MIMOは『1対多』という形で複数ユーザーに対して送受信を行う。
主にWi-Fiルーターに用いられる技術で、アンテナごとで異なる通信が可能なので、複数の端末を同時接続する際に速度低下を防ぐ事が出来ます。但し受信側の端末もMU-MIMOに対応していなければなりません。
また、アンテナの1つは制御用に回るので4×4MIMOの場合だと使えるアンテナは3本となり同時に
通信が出来る端末は3台となり、3台を超えた場合は速度が低下します。

Massive MIMO(マッシブ マイモ)

LTEで活用されている〇×〇MIMOを更に発展させ、Massive(大規模)の名のり数十数百のアンテナ数を使ったMIMO。
2016年9月16日にsoftbankが世界初の商用サービスを開始。全国の混雑している駅やその周辺、繁華街やイベント会場などで、SoftBank 4Gと最大128のアンテナを用いたMassive MIMOが利用出来る。
また高速大容量通信をうたう5Gにとっては必要不可欠の技術の1つとなっています。
なんとなく意味は理解してたという方も全く知らなかったという方も、以上のことをザックリとでも押さえておけば、Wi-Fiルーター選びやスマホ選びの際に役立つことがあるのではないでしょうか。

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