スマホ用語解説『256QAM』


ここ数年スマホのスペック表などでよく見かけるこの用語。ガジェットや通信関係が好きな方にとっては馴染みの用語だったりしますが、一般的なスマホユーザーにはあまり浸透していないのではないでしょうか?
実際知らないと困るような用語ではありませんが、前からちょっと気になってたという方は是非この機会に覚えて下さい。

QAMとは

Quadrature Amplitude Modulation(直交位相振幅変調方式)略してQAM。
QAMとは互いに独立な2つの搬送波(すなわち同相(in-phase)搬送波及び直角位相(quadrature)搬送波)の振幅を変更・調整することによってデータを伝達する変調方式である。(※wiki)
読みに関してはは『カム』と読む場合が多いですが『クァム』と表記されることもあり、『キューエーエム』とそのまま呼ばれる方もおられるので、絶対的な決まりはない模様。

256QAMとは

従来データ通信に使われていた64QAM方式が6bitなのに対し、256QAM方式は8bitとなります。情報密度を濃くする事により一度に運べるデータ量を増やす事が出来るため、256QAM方式は64QAM方式の1.33倍の通信速度を可能とします。

なぜ速くなるのか?

256QAMは2つの独立した搬送波振の違いを16段階で識別し256値のシンボルを用いて1度に8ビットを伝送出来るため…と、専門用語を使ってその仕組みを解説しても、余計ややこしくなってしまいますし、正直私自身もこんな大学の入試に出て来そうなものを皆様に詳しく解説することはなかなか難しい。
ということで技術的な部分を詳細に解説するのではなく『例えるならこういう事ですよ』という感じで解説させて頂きます。

256QAMを例える

まず、速さと聞いて皆様が真っ先に思い浮かべられるであろうkm/h・km/m・km/s等の『どれだけの時間でどれだけの距離を進むか』の移動速度に対し、通信速度(bps)は『時間に対しどれだけの量を運べるか』となります。

つまり…
km/s⇒1秒間に進む『距離』
bps ⇒1秒間に伝達する『量』

そしてこの256QAMは64QAMより1度に送信できるデータ量を多くする技術ですが、その仕組みをイメージしやすいようにトラックの運搬に例えてみましょう。

64QAM ⇒荷物をだいたいの感覚で荷台に詰め込む
256QAM⇒荷物の形状等を細かく計算しより効率的に荷台に詰め込む

つまり256QAMは荷台を大きくしてより多くの荷物を運べるようにするのではなく、荷台の大きさはそのままですが効率的に詰め込む事でより多くの荷物を運べるようにする──すなわち情報密度を濃くする技術という事です。


256QAM実用例

docomo

2017年3月から256QAMをFDD方式のLTE通信に導入。下り最大375Mbpsだった速度を最大 500Mbpsまで引き上げる。

au

2017年9月にUQコミュニケーションズがWiMAX2+に256QAMを導入。キャリアアグリケーション・ 4×4MMOと組み合わせることにより下り最大708Mbpsのサービスを開始。

Softbank

2016年11月に国内初となる256QAM変調方式を取り入れたサービスを開始。『SoftBank 4G LTE』をキャリアアグリゲーションと組み合わせることでを下り最大262.5Mbpsから最大350Mbpsに、『SoftBank 4G』を4×4MMOと組み合わせることで下り最大175Mbpsから最大234Mbpsに引き上げる。

Wi-Fi

下り最大6.9GbpsのWi-Fi5(IEEE 802.11ac)で導入。


関連用語

256QAMは【キャリアアグリゲーション(CA)】【MIMO】【LTE-Advance】【Wi-Fi】と関連が強い用語となります。
合わせてお読み下さい。

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