スマホ用語解説「周波数帯」


スマホ用語解説『周波数帯』

SIMフリースマホや、SIMロック解除されたスマホを使う上で最重要キーワードでありながら、意外と皆様ご存知ない周波数帯。
ある程度でも知っておくと絶対に損はしないスマホ用語なので、この機会に覚えてみてはいかがでしょうか?

周波数帯(バンド)とは

携帯端末で通信・通話するための回線の事で、周波数帯で区分され『Band〇〇』『バンド○○』『B〇〇』という形で記されます。例えば2.0GHz帯はBand1、1.7GHz帯はBand3という感じです。
もちろんBand1・Band3以外にも多くのBandが存在し、それぞれに特長があります。また中には『ドコモだけ』『auだけ』『SoftBankだけ』というようなBandも存在します。
そしてこの周波数帯こそがSIMを差し替えて使う際にもっとも重要な部分となります。

キャリアで契約したSIMを同時に購入したスマホで使う分には問題ないですが、キャリアのSIMを他キャリアのSIMロック解除されたスマホで使う場合や、格安SIMをキャリアのスマホやSIMフリースマホで使う場合、SIMカードとスマホの対応周波数が合致していないと電波が繋がり難くなったり、最悪の場合は通信しないなんてことがおきます。

※下記の情報は2020年4月時点の情報となります


5G・4G・3G・2Gのバンド

まずは各世代どのようなバンドがあるのかを見て行こうと思います。
ただ周波数を併記すると長くなるのでここではバンドのみを記載しています。
あと日本国内で使用されているバンドに関しては赤文字にしてあります。
簡単に暗記出来る数ではないので『ふ~ん』という感じで流し見程度に確認していただければと思います。

5Gの周波数帯

Sub6(Frequency Range 1)

Band:n1, n2, n3, n5, n7, n8, n12, n14, n18, n20, n25, n28, n29, n30, n34, n38, n39, n40, n41, n48, n50, n51, n65, n66, n70, n71, n74, n75, n76, n77, n78, n79, n80, n81, n82, n83, n84, n86, n89, n90

ミリ波(Frequency Range 2)

n257, n258, n260, n261

n78はグローバルバンドなので多くの国で使用されています。また5Gのバンド表記には数字の前にnが付きます。

4Gの周波数帯

Band:1, 2, 3, 4(AWS), 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 65, 66

大雑把にまとめると北米ではBand2,4、欧州・アジアはBand1,3が中心となります。特にBand3はグローバルバンドなので北米以外の国に行く際は必須といっても良いでしょう。また北米で販売されているものはスマホ(iPhone以外)は欧州・アジア向けの周波数帯に対応していないものが殆どなので、違う国で使う際には注意が必要です。

3Gの周波数帯

W-CDMA

Band:1, 2, 3, 4(AWS), 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 19, 21, 22, 25, 26

CDMA2000

バンドクラス:0-0, 0-1, 0-2, 0-3, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15

4G同様に北米はBand2,4(AWS)、欧州・アジアはBand1,3のW-CDMA方式が中心となりますが、日本のau・中国の電信・米国のVerison等CDMA2000方式を使っているキャリアもあります。ちなみにですが周波数が一緒でもW-CDMAとCDMA2000に互換性はありません。

2Gの周波数帯

GSM

1900MHz, 1800MHz, 850MHz, 900MHz

日本では使用されていない周波数帯ですが、海外では使用されている国もまだ多くあるので海外によく行く方は知っておいて損はないかもしれません。
※GSM方式以外にも通信方式が存在しますが割愛させて頂きます。

各キャリアの周波数帯

それでは現在日本で使用されている5G・4G・3Gを各キャリアごとに解説していこうと思いますが、5Gはまだ運用開始直後で3Gはサービス終了のアナウンスが発表されているという事もあり、実質最重要な4Gが中心となっております。


■ドコモが使用する周波数帯■

第5世代(5G)

Sub6

n78(3.7GHz)
n79(4.5GHz)

ミリ波

N257(28GHz)

2020年3月25日に国内では初となる商業用サービスを開始。
サービス開始当初は全国150ヵ所で受信最大3.4Gbps、6月以降受信最大4.1Gbpsとなり、6月末からは全都道府県へ展開。

第3.9世代-第4世代(4G/LTE)

通信方式:FDD-LTE

Band1(2.0GHz) カバー範囲の広いメインの周波数帯。最重要
Band3(1.7GHz) 東名阪限定の150Mbpsの高速周波数帯
Band19(800MHz) 山間部など電波が届きにくい場所をカバーするプラチナバンド。最重要
Band21(1.5GHz) 主に地方で飛んでる周波数帯
Band28(700MHz) プラチナバンドだが今のところ重要度はない

通信方式:TDD-LTE

Band42(3.5GHz) キャリアアグリケーション用の高速周波数帯

第3世代(3G)

通信方式:W-CDMA,HSPA等

Band1(2.0GHz)・Band6/19(800MHz)
Band1がメインでBand6/19(FOMAプラスエリア)で山間部等の電波の届きにくい場所をカバー。2026年3月末サービス終了。

■auが使用する周波数帯■

第5世代(5G)

Sub6

n77(3.7GHz)
n78(3.7GHz)

ミリ波

n257(28GHz)

2020年3月26日国内で2番目となる商業用サービスを開始。
サービス開始当初は全国15都道府県の一部エリアで提供、同年の夏以降全都道府県の主要都市に展開。(基地局数2021年3月: 約1万局、2022年3月: 2万局超)

第3.9世代-第4世代(4G/LTE)

通信方式:FDD-LTE

Band1(2.0GHz) メイン周波数帯だがカバー範囲は狭い
Band3(1.7GHz) 2019年春に運用開始されたばかりで実用度は不明 Band11(1.5GHz) 幻の周波数帯と言われる程エリアが狭い
Band18/26(800MHz) プラチナバンドでメイン周波数帯。B1より重要
Band28(700MHz) エリア拡大中のプラチナバンドですがまだB18/26程重要ではない

通信方式:TDD-LTE

Band41(2.5GHz) UQコミュニケーションズから借りている。WiMAX2+の事
Band42(3.5GHz) キャリアアグリケーション用の高速周波数帯

第3世代(3G)

通信方式:CDMA2000,EV-DO等

バンドクラス0-2(800MHz)・バンドクラス6(2.0GHz) 現在は4G・5G対応端末しか販売されていませんが、停波したわけでは無いので対応したSIMと対応端末であれば使用する事が出来ます。2022年3月末サービス終了。

■SoftBankが使用する周波数帯■

第5世代(5G)

Sub6

n77(3.7GHz)

ミリ波

n257(28GHz)

2020年3月27日に国内で3番目となる商業用サービスを開始。
開始当初は都市部を中心とした一部エリアだけであるが、2021年12月までに人口カバー率90%をを目標にインフラを整えていく。
ドコモ・auと違いグローバルバンドのn78を取得できなかった。

第3.9世代-第4世代(4G/LTE)

通信方式:FDD-LTE

Band1(2.0GHz) 広範囲をカバーするメイン周波数帯/
Band3(1.7GHz) 吸収したY!mobileのメイン周波数帯だったので通信エリアも広い
Band8(900MHz) 山間部など電波が届きにくい場所をカバーするプラチナバンド
Band11(1.5GHz) あまり使用されていないので気にしなくてもよい
Band28(700MHz) プラチナバンドだがdocomo・au同様あまり重要ではない

通信方式:TDD-LTE

Band41(2.5GHz) Wireless City Planningから借りている周波数帯。AXGPの事
Band42(3.5Hz) docomo・au同様キャリアアグリゲーション用の周波数帯

第3世代(3G)

通信方式:W-CDMA,HSPA等

Band1(2.0GHz)・Band8(900MHz)
Band1がメインでBand8(プラチナバンド)で山間部など電波届きにくい場所をカバー。2024年1月下旬サービス終了。

■楽天モバイルが使用する周波数帯■

第5世代(5G)

Sub6

n77(3.7GHz)

ミリ波

n257(28GHz)

2020年4月時点ではまだ運用開始されていません。
SoftBank同様グローバルバンドのn78を取得できなかった。

第3.9世代-第4世代(4G/LTE)

通信方式:FDD-LTE

Band3(1.7GHz)

現在の基地局の数では届かないエリアがかなりあるのでau Band18をローミングして補っております。


SIMとスマホの組み合わせ

各キャリアから発売されているXperia1(SIMロック解除済)に他キャリアのSIM又は他キャリアの回線を使用した格安SIMを挿した場合を例に解説して行きます。

国内キャリア版Xeria1の対応周波数

ドコモ版(SO-03L)

4G Band1,3,19,21,28,42
3G Band1,6,19

au版(SOV40)

4G Band1,3,11,18,26,28,41,42
3G Band1(※)

※au VoLTE対応スマホはCDMA2000に対応していませんがW-CDMA方式の3G周波数を持っています。

SoftBank版(802SO)

4G Band1,3,8,11,28,42/ 3G Band1,8

■ドコモ又はドコモの回線を使用した格安SIMを…

au版(SOV40)に挿した場合

4G Band1,3,11,18,26,28,42
3G Band1

SoftBank版(802SO)に挿した場合

4G Band1,3,8,11,28,42
3G Band1,8

両方ドコモのプラチナバンドとFOMAプラスエリアを掴まない、東名阪以外だとBand3が使えない、B28は殆ど飛んでいないB42は単体では通信しない…と実質Band1のみの運用となるので実用エリアはかなり狭くなる。余りオススメは出来ない。

■au(VoLTE)又はau(VoLTE)の回線を使用した格安SIMを…

ドコモ版(SO-03L)に挿した場合

4G Band1,3,19,21,28,42
3G Band1,6,19

SoftBank版(802SO)に挿した場合

4G Band1,3,8,11,28,42
3G Band1,8

auはプラチナバンドであるBand18を超メインにしているのでBand1に対応していたとしても、殆ど使い物にならない。もちろん3Gも使えない。この中で1番おススメ出来ない。

■SoftBank又はSoftBankの回線を使用した格安SIMを…

ドコモ版(SO-03L)に挿した場合

4G Band1,3,19,21,28,42
3G Band1,6,19

au版(SOV40)に挿した場合

4G Band1,3,11,18,26,28,42
3G Band1

SoftBankのメイン回線であるBand1は基地局が多くカバー範囲が広い上に、旧E-MOBILEを吸収している為Y!mobileのメイン回線であるBand3も使える為プラチナバンドを使えなくてもそこそこ使える。この中では1番使えます。(筆者はこの組み合わせでサブ機を使用しています)


周波数帯まとめ

上にも書いた通りキャリア販売のSIMロック解除したスマホに他社キャリアのSIMを入れても、iPhoneと一部のAndroidスマホ以外では殆どまともに通信しません。

SIMの差し替えが当たり前になった現在【周波数帯】をある程度でも知っていれば『せっかくスマホ買ったのに通信状況が悪すぎる…』なんてことは起きませんよ!!

5Gの補足

SuB6とは

Frequenccy Rage1(FR1)の呼称で6GHz未満の5G周波数帯。日本には3.7GHz帯と4.5GHz帯が割り当てられている。

ミリ波と比べると低周波数帯なのでカバーエリアは広いが速度に関しては劣るものの、現状ではメインはこちらなのでミリ波より重要となります。

ミリ波(mmWave)とは

Frequenccy Rage2(FR2)の呼称で30~300GHzの5G周波数帯。n257は28GHzですがミリ波にカテゴライズされています。

高周波数帯なので障害物に弱く広範囲をカバー出来ない為、人が多く集まるような場所をスポットでカバーしていく形で整備されていきます。

4G・3Gの補足

プラチナバンドとは

700MHz~900MHzの低周波数帯の呼称。速度は遅いが障害物に強く広いエリアをカバーできる。

携帯端末で通信通話する際高周波数帯は速度は速いが障害物に弱いという欠点があるので、山間部や建物内・地下などもカバーできるプラチナバンドが重要になる。

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