
ドコモのMFBI
ドコモのMFBIとは
MFBIでドコモ回線の世界が広がる
そして東京オリンピック2020との関係

※注意:以下の内容はMFBIの事をを知れば『ドコモ回線SIMで使える端末の選択肢が増えますよ』、そしてそれは『東京オリンピックと意外な関係』がありますよという趣旨の記事です。MFBIのメカニズム等をを深く掘り下げるものではありません。
目次
auのSIMロック解除済AndroidスマホにドコモのSIMを挿すと…

スマホ初心者「え、なにかなるんですか?」
スマホ中級者「プラチナバンドが使えないんだよね…」
スマホ上級者「最近のAQUOSはプラチナバンド掴むからいいよね」
スマホ有識者「ドコモが800MHzでMFBIを導入したから選択肢が増えたよね」
皆様はどれに当てはまりますか?
有識者レベルの方はすでにご存じな内容を多分に含みますので、ご了承の上お読みください。
スマホ上級者までの方はどうか最後までお付き合い下さい。
4G LTEはプラチナバンドが重要

プラチナバンドがないと安定した通信は出来ない──
そんな重要なプラチナバンドですが、ドコモのプラチナバンドの中でも最重要であるBand19は、世界中でドコモしか使っていないバンドで、auのBand18も同様です。
そしてキャリア販売のAndroidスマホは基本的には自社が使用するバンドしか対応させていません。
つまりドコモのSIMをSIMロック解除されたauのAndroidスマホに挿したとしても、ドコモのBand19を掴めないので安定した通信は望めないということです。

2021年10月からはSIMロック禁止(※)となり、原則キャリアはスマホにSIMロックを掛ける事が出来なくなるので、SIMフリースマホと銘打った商品がが市場に一気に溢れ出ると思われます。
しかし以上の理由で「スマホ選び放題ヤッターッ!!」という感じにはならないんですね。
※SIMロック禁止の詳細は『SIMロック禁止の危険性』をご覧下さい。
特にドコモ回線ユーザーはMNO・MVNO含め利用者数がもっとも多いので、下記のような状態に陥る人が増えるのではないでしょうか?
同じ機種でもau版の方が安いからau版を買おう
↓
SIM挿入
↓
アンテナ不安定
↓
商品不良?
そこで登場するのが今回のワードであるMFBIです。
このワードを少しでも知っていれば、ドコモ回線ユーザーは端末の選択肢が確実に広くなります。
MFBIとは
Multi-Frequency Band Indicatorの略で、平たく言えば…
平たく言えば…
平たく言えば…
すいません。ちょっと平たい言葉が見つからないので少しだけ解説のお時間を下さい。(そんなに深くは掘り下げませんので)
まずはこちらの4キャリアのバンドと周波数の表をご覧下さい。
4Gバンド 対応表 |
docomo | au | SoftBank | Rakuten | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
Band1 2000MHz |
〇 | 〇 | 〇 | docomo・SoftBankはメイン回線の1つ。auも以前よりはエリアが広くなったが…. | |
Band3 1700MHz |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | docomoは東名阪のみ、SoftBank・Rakutenはメイン回線、auは2019年に追加でエリアが少ない。 |
Band8 900MHz |
〇 | SoftBankのプラチナバンド. | |||
Band11 1500MHz |
〇 | 〇 | 対応エリアが幻と呼ばれるレベル。 | ||
Band18 800MHz |
〇 | ▲ | auのプラチナバンドでRakutenはパートナー回線としてauから借りている。 | ||
Band19 800MHz |
〇 | docomoのプラチナバンド。 | |||
Band21 1500MHz |
〇 | docomoの地方エリア用バンド。 | |||
Band26 800MHz |
▲ | 〇 | MFBIで対応 | ||
Band28 700MHz |
〇 | 〇 | 〇 | プラチナバンドですが、あまり広まっていない… | |
Band41 2500MHz |
〇 | 〇 | auはWiMAX2+、SoftBankはAXGP | ||
Band42 3500MHz |
〇 | 〇 | 〇 | キャリアアグリケーション用で単体通信は出来ない。 |
周波数表記に関してですが、例えばBand1はこの表では2000MHzと表記しましたが他では2100MHzと表記されることもあったりと、媒体によって表記に揺れがあります。
これはBand1の【周波数帯】が【1920MHz~1980MHz(上がり)/2110MHz~2170MHz(下り)】ということに起因します。
同じように全てのBandには周波数帯、つまり周波数の範囲があります。
そこで見ていただきたいのがこの記事内で最重要のBand18・19・26です。

auのプラチナバンドであるBand18、ドコモのプラチナバンドであるBand19。
この2つは周波数800MHzや800MHz帯と表記されますが、実際には表のように使用する周波数の範囲が異なります。なので同じ800MHz帯ではありますがドコモのBand19とauのBand18は互換性がありません。
しかしBand26はどうでしょう?Band18もBand19もすっぽりと内包されています。
なので理論上Band18とBand19はBand26で繋げることが出来るということです。
そしてこの技術がMFBIというわけです。
どうでしょう?なんとなくでも理解いただけましたか?
まぁ、まだ頭の中が『???』という状態でも大丈夫です。
冒頭にも書いた通り、この記事はMFBIを深く掘り下げるのが目的ではございませんので。
と、ここまでが前置きで、次の項目からが本題です。
Band26があればBand19を掴む!!
2015年にキャリア販売スマホにSIMロック解除が義務付けられたものの、iPhone以外の端末は対応周波数が販売キャリアの回線に特化され過ぎていて、他キャリア回線での使い回しがほとんど出来ない状況でした。各キャリア自社販売端末には自社回線のプラチナバンドにしか対応させていませんでしたからね…
ところが──
2020年の春先にSNS上に『ドコモがMFBIを導入した』という書き込みが現れました。

※https://www.au.com/support/service/mobile/procedure/simcard/unlock/compatible_network/ より
この表はau版Xperiaシリーズの対応バンド表なのですが、800MHz帯にはドコモのプラチナバンドであるBand19(もちろん無印)、そしてauのプラチナバンドであるBand18…と共にBand26の表記があります。
実はauはもう何年も前からMFBIを導入しているので、Band18をBand26で掴めるようになっています。なのでau販売の端末にはBand26に対応しているものが結構存在します。
つまりどういうことかというと──

au販売端末でもBand26対応端末であれば、ドコモのSIMを挿してもプラチナバンドを掴んで通信できるという事です!!
そしてこちらの画像はau Xperia XZ2 SOV37にahamo(ドコモ)のSIMを差し、Band26での通信を確認した時のもので、ネット接続だけでなく通話の確認も取れました。

通話に関してですがahamoはFOMA(3G)非対応なので、auのスマホにドコモ回線のSIMを差してVoLTEを使えたという貴重な瞬間です。(MFBI関連を調べても出てこなかったので)
キャリア端末も怖くない
キャリア端末はSIMロック解除されていても、一部端末を除き他キャリアSIMでプラチナバンドが使えないので購入しても意味がない──という定説がドコモのMFBI導入により覆りました。
MFBIを知っていれば知らないよりも確実に端末の選択肢が増えます!!
ドコモの4G LTE対応のSIMをauのスマホに挿してプラチナバンド(800MHz帯)が使えるパターンはこの2つです。
- 端末側がBand19に対応している
- 端末側がBand26に対応している
Band19に対応したau端末はiPhone以外にはGoogle・Huawei・OPPOそしてSHARPの一部機種という具合でそれほど多くはありませんが、Band26対応機種は人気のXperiaを含めてかなりの数が存在します。
注意点

そしてここからが本題。2020年春先からドコモ回線の800MHzがBand26で掴む、つまりMFBIを導入したことが確認され始めましたが…
実はドコモから公式アナウンスがあったわけではありません。
上にも書い通り有志の方々の検証結果がSNS上に投稿され拡散しただけなのです。
つまり100%保証されるものではないということです。
前の項目での私の検証は東京の秋葉原で行ったもので、一応近辺の地域でも同じ結果を得る事が出来ましたが、公式アナウンスがないので日本中全ての地域で同じように通信出来るかは保証されるものではないということです。
基地局が対応していないとMFBIを利用する事ができないのですが、全ての基地局を有志の方々だけで調べるというのは無理な話なので、流石に公式のアナウンスが無いと…ということですね。
そしてもう1点。ドコモがMFBIを導入したと言ってもそれはあくまで『ドコモ回線のBand19がBand26で繋がるようになりましたよ』ということであり、ドコモの端末がBand26に対応したわけではないということです。

つまり、ドコモの端末にau回線のSIMを入れたとしてもBand18で通信することはできないというわけです。(一部のBand18対応機種を除く)

この表はドコモ公式のもので1部機種の【バンド18/26】に〇があるものがありますが、これはBand18対応を表わしており、Band26ではありません。
※ドコモ公式 https://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/support/unlock_simcard/band.pdf より
東京オリンピック2020と携帯回線
ドコモが突然サイレントでMFBIを導入したのはなぜか?
これはあくまで憶測のレベルなのですが、おそらく東京オリンピック2020の為だろうといわれています。
どういうことかというと、上述したようにBand19は世界でドコモしか使っていない為、極一部のハイエンド機を除き海外で販売されているスマホの殆どが対応していません。
つまり東京オリンピックで訪日される方達が持ち込まれるスマホではプラチナバンドを掴むことができないということです。
そこで海外の端末でもけっこう対応しているBand26でBand19を掴めるようにしたのではないかということです。
技術大国日本を印象付けるのに『携帯が繋がりにくい国』と思われたくないですからね。
東京オリンピックは皆様ご存知の通りコロナ禍の影響で2020年から2021年に延期となり、しかも無観客ということで世界中から沢山の観光客を迎えいれることは出来なくなりましたが、こうして私達日本に住む者にとって思わぬ恩恵がもたらされたということです。
他のキャリアは?
SoftBankのメインプラチナバンドは900MHz帯のBand8となります。そしてSoftBankはBand1とBand3のアンテナも充実しております。で、このBand1・Band3・Band8はほぼほぼ世界共通で普及している周波数帯なのでSoftBankは特に対策する必要がないということです。
そしてauに関してですが、800MHz帯はここまでに書いた通り以前よりMFBIでBand26に対応させています。ですが、auはBand18メインにエリア拡大してきていたので実はBand1のエリアを充実させていませんでした。
ところがここ数年でBand1エリアが充実してきたり、突然Band3を導入したりという流れがありました。今考えるとこれは東京オリンピックの為の施策だったんだなという感じですね。
秋葉原での検証について

こちらは余談ですが、上の項目で秋葉原でのMFBIの検証結果を載せました。実はこれ結構苦労しました。
何を苦労したかというと…
Band1・Band3・Band28で途切れることなくアンテナビンビンで通信するので、Band19をBand26で掴むシチュエーションになかなかならなかったんですね。
いやはや800MHzを掴めないとまともに使えないと言われていた数年前と比べると雲泥の差です(笑)まぁ東京の秋葉原での検証だったので他の地域では参考にはなりそうにないですが、都市部の外国人観光客が多く訪れるであろう場所であればアンテナ状況は数年前より段違いで充実している可能性は高いかもしれませんね。
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