スマホ用語解説「防水防塵の等級」
スマホ用語解説『防水防塵の等級』
■日本では馴染みの深い防水防塵機能
日本人はスマホを選ぶ際に『防水防塵は必須』という方がかなり多いと思います。
日本は海外と違い、ガラケー時代から防水防塵対応の機種があったのでその影響でしょう。
日本人にとって馴染み深い機能ではありますが、その防水防塵性能を表す規格『IP6X』『iPX8』『IP68』がどういう意味かと聞かれて答えられる方は少ないのではないでしょうか?
■IPとは?
まず最初にIPの意味ですが、これは『International Protection』の略で、IEC(InterNational Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)が定めた保護等級などをコード化したものです。
■IP6X? IPX8? IP68??
スマホのスペック表に『防水IPX8/防塵IP6X)』と書かれていたり、『防水防塵(IP68)』と書かれている場合もありますが、どちらも同じ意味です。
つまりIP6X/IPX8=IP68ということです。 防水と防塵を分けて表記する際は前者、防水防塵でまとめて表記する際は後者という感じで使い分けられています。
アイピーエックスと呼ばれたりする事が多いですが、『X』は表記を分けて書く際に『防水』の等級なのか『防塵』の等級なのか混同しないためのスペース的な意味合いなので、IP□8やIP6□という感じで違う記号が入ることもあります。
日本語だと、防水防塵と表記される事が多く、防水の方が先にくるので間違いやすいですが、先にくる数字が防塵等級を表し、後の数字が防水等級を表しています。
具体的にどのような等級があるのかを見ていきましょう。
■防水性能の等級
IPX0~IPX8の9段階があり、下記のような性能となります。
IPX0 保護の程度:水の浸入に対して特には保護されていない
テスト方法:テストなし
IPX1 保護の程度:垂直に落ちてくる水滴によって有害な影響を受けない
テスト方法:200mmの高さより3〜5mm/分の水滴、10分
IPX2 保護の程度:垂直より左右15°以内からの降雨によって有害な影響を受けない
テスト方法:200mmの高さより15°の範囲3〜5mm/分の水滴、10分
IPX3 保護の程度:垂直より左右60°以内からの降雨によって有害な影響を受けない
テスト方法:200mmの高さより60°の範囲10ℓ/分の放水、10分
IPX4 保護の程度:いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない
テスト方法:300〜500mmの高さより全方向に10ℓ/分の放水10分
IPX5 保護の程度:いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない
テスト方法:3mの距離から全方向に12.5ℓ/分・30kpaの噴水、3分間
IPX6 保護の程度:いかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響を受けない
テスト方法:3mの距離から全方向に100ℓ/分・100kpaの噴流水、3分間
IPX7 保護の程度:規程の圧力、時間で水中に沒しても水が浸入しない。
テスト方法:水面下・15㎝〜1m、30分間。
IPX8 保護の程度:水面下での使用が可能。
テスト方法:メーカーと機器の使用者間の取り決めによる。
1~6までが『水を当てる』テストでの防水性能、7と8がより高度な『水に浸ける』というテストで合格した等級となってます。
『防水IPX5/IPX8』と記載されている事もありますが、これは『水に浸けるだけではなく水を当てるテストもしているよ』という意味になります。
IPX8等級の注意点
IPX8のテスト方法に関しては、他の等級と違い、 『メーカーと機器の使用者間の取り決めによる』 となっています。
これはどういう事かというと、同じIPX8でもメーカーごとで異なり、全てが同じ防水性能ではないという事になります。
メーカーによっては『お風呂での使用は保証出来ません』と注釈が付いているものもあれば、『お風呂でもご利用頂けます』という注釈が付く事もあります。 お風呂で使いたい、海やプールで使いたい等、具体的な希望がある場合はメーカーの注釈まで必ず読んでおきましょう。
■防塵性能の等級
IP0X~IP6Xの7段階があり、下記のような性能となります。
IP0X 保護の程度:保護なし
テスト方法:テストなし
IP1X 保護の程度:手の接近からの保護
テスト方法:直径50mm以上の固形物体(手など)が内部に侵入しない
IP2X 保護の程度:指の接近からの保護
テスト方法:直径12mm以上の固形物体(指など)が内部に侵入しない
IP3X 保護の程度:工具の先端からの保護
テスト方法:直径2.5mm以上の工具先端や固形物体が内部に侵入しない
IP4X 保護の程度:ワイヤーなどからの保護
テスト方法:直径1.0mm以上のワイヤーや固形物体が内部に侵入しない
IP5X 保護の程度:粉塵からの保護
テスト方法:機器の正常な作動に支障をきたしたり、安全を損なう程の料の粉塵が内部に侵入しない
IP6X 保護の程度:完全な防塵構造
テスト方法:粉塵の侵入が完全に防護されている
『指の接近からの保護?なんのこっちゃ?』と思われるかもしれませんが、この規格自体スマホ以外の色々な機器にも適応されるものだからです。
なので実質スマホに適応されるのはIP5XとIP6Xとなります。
■Androidの防水防塵事情
スマホ世界シェアNo1メーカーSamsungのフラグシップGalaxy Sシリーズは、2014年発売のS5から防水防塵に対応。
その後他の海外メーカーもフラグシップモデルは防水防塵対応にするようになり、現在ではフラグシップはIP68が当たり前という状況となっています。
SONYやSHARPやFUJITSU等、日本のメーカー製スマホはフラグシップは勿論、ミドルくらすのものでも基本防水防塵に対応しています。
また京セラのTORQUEシリーズやCATのSシリーズのように防水防塵機能に特化したスマホも数多く存在します。
■iPhoneの防水防塵事情
iPhoneが防水防塵に対応したのはiPhone7以降のナンバリングモデルとなります。
IP67対応:iPhone7/iPhone7 Plus/iPhone8/iPhone8 Plus/iPhoneX/iPhoneXR
IP68対応:iPhoneXS/iPhoneXS Max/iPhone11/iPhone11 Pro/iPhone11 Pro Max
iPhoneXS/MaxやiPhone11シリーズはIP68となりCM等で防水性能をかなりアピールしていましたが、お風呂での使用は推奨外となりますのでご注意下さい。
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