スマホ用語解説「白SIM/半黒SIM/黒SIM」


聞きなれない用語だと思いますが、語感からも分かるように『白ロム』と深く関わる用語です。
正直普通にスマホを使って行く分にはさほど重要度は高くない用語なんですが、白ロムとの使い分け方を知ればスマホを取り巻く環境を少しだけ深く理解出来るようになると思います。

白ロム・半黒ロム・黒ロム

皆様お馴染みの『白ロム』とは本来は契約情報の入っていないSIMカードを指す言葉なのですが、現在では一般的にSIMカードを抜いた状態の端末(ガラケー/スマホ/タブレット)を指す言葉として使われています。
そして、そういう現状があるので本来の意味との混同を避ける為、契約情報の入っていないSIMカードを白SIMと言い換えるようになりました。
では、白SIMが契約情報の入っていないSIMカードを指すのであれば、半黒SIM・黒SIMとはどのような状態のSIMカードを指すのでしょうか?
それはSIMカード内に書き込まれる情報がどの段階にあるのかで使い分けられます。

SIMカード内の情報

私たちが使うSIMカードにはICCID(製造番号)・IMSI(契約者識別番号)・電話番号・メールアドレス・電話帳のデータが入っています。
その情報はSIMカードが作られてからユーザーが使用するまでの流れの中で、段階的に書き込まれて行きます。以下簡単にまとめてみました。

MNOが企画したSIMカードをSIMメーカー(日本の場合DNP、Gemalto、ギーゼッケ アンド デブリエントの3社)が製造しMNOに納品。この時点ではICCID以外の情報は書き込まれていません。

MNOがIMSI・電話番号・メールアドレスを書き込みます。この契約情報を書き込む事をプロビジョニングと呼び、MNOはプロビジョニング専用の顧客管理情報システム(ドコモのALADIN、ソフトバンクのGINIE)を用いて全ての契約の管理を行っています。

端末に挿せば使用可能な状態で、ユーザーの手で電話帳を書き込んだりメールアドレスの変更を行ったりすることが出来ます。

このプロセスの中で②と③の間に開通作業が入るので、②はプロビジョニングされているが未開通の状態となります。 では、このプロセスの中でどの状態が白SIM・半黒SIM・黒SIMなのかを見て行きましょう。

白SIM

SIMカードメーカーがMNOに納品した時の状態で、ICCIDだけが書き込まれている状態。

半黒SIM

プロビジョニングされているが、まだ開通していない状態。

黒SIM

ユーザーが実際に使用できる状態。

つまり①の段階では白SIMで②の段階で半黒SIM③で黒SIMとなります。

ただし、ここまでの内容はSIMカードの提供が『MNO⇒ユーザー』という場合に当て嵌まるものであり、『MVNO⇒ユーザー』の場合は少しだけ異なる部分が出て来ます。


MVNOのSIMカード

SIMカードがどの状態の時に『白SIM/半黒SIM/黒SIM』と呼ぶのかは、MVNOの場合もMNOと変わりませんが、ユーザーが運用するまでの流れの中のどのタイミングで白SIM・半黒SIM・黒SIMなのかが変わって来ます。

実は今の日本ではMVNOがSIMカードを独自に作る事が出来ないません。(フルMVNOなら独自に作る事が出来る)
なので、MVNOがユーザーに提供するSIMカードはMNOから提供されたSIMカードとなります。
なので流れ的にはMNOがSIMカードを発行する場合は『SIMメーカー⇒MNO⇒ユーザー』という感じですが、MVNOがSIMカードを発行する場合は『SIMメーカー⇒MNO⇒MVNO⇒ユーザー』という感じになります。
そしてMNOがMVNOにSIMカードを提供する場合には2つのパターンがあります。『プロビジョニングしたSIMカードを提供する』パターンと『プロビジョニング端末とSIMカードを提供する』パターンです。

■MVNOがプロビジョニングする場合

MNO(白SIM)⇒MVNO(白SIM/半黒SIM)⇒ユーザー(黒SIM)

■MNOがプロビジョニングする場合

MNO(黒SIM)⇒MVNO(黒SIM)⇒ユーザー(黒SIM)
※MNOが半黒SIMでMNOに提供する場合もあります

ネットでSIMカードを購入した場合ユーザーの手元に届くまで何日か掛かります。MNOがプロビジョニングするパターンだと開通している状態なのにユーザーが使用出来ない期間が発生してしまうので、MVNOがプロビジョニングするパターンが現在の主流となっています。


まとめ

白ロムとは本来情報が書き込まれていないSIMカードの事を指す業界用語だったが、中古携帯端末が一般化していく中で『白ロム=SIMカードが入っていない端末』という意味で広がってしまった。
なので区別が必要な場面において混同しないように白SIMという言葉がうまれた。
そして、SIMカードは書き込まれる情報の段階によって白・半黒・黒の3色に分けられる。

以上、覚えてなくてもいいけど知っていると少しスマホを取り巻く環境に詳しくなれる用語解説でした。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。