スマホ用語解説『CA(キャリアアグリゲーショ ン)』


2015年3月27日にドコモがXi(LTE)通信で下り最大225MbpsのサービスをPremium4Gと名付けて開始しました。従来のサービス(下り最大150Mbps)を75Mbpsも上回るPremium4Gとは一体どういう仕組みなのか?
調べればそこには必ず「CA」という文字が出て来ます。

CAとは

Carrier Aggregation/キャリアアグリゲーションの略で、
Carrier『搬送波』Aggregation『集約』の意味する通り複数の周波数帯を1つにまとめてLTE通信を高速化する技術で、LTE拡張規格 LTE-Advandedを構成する要素の1つである。

通信用の周波数帯域は5MHz幅の帯域なら37.5Mbps、10MHz幅の帯域なら75MHz、20MHzの帯域幅なら150MHzという感じで帯域を増やせば通信速度が上がりますが、スマホ等で使用している周波数帯域は既に利用されており、5~100MHzまでの連続した帯域を全てを確保するには大掛かりな再整備が必要になってしまいます。

そういった理由もありLTEの通信速度を向上させるために連続した帯域を確保するのではなく、連続していない複数の周波数帯を1つにまとめるキャリアアグリゲーション技術が用いられるようになりました。

なぜCAで速くなるのか

複数の周波数帯を1つの伝送路とみなす事によりデータ通信の速度を上げる…通信速度向上の為の技術は道路に例えられる事が多いですが、CAに関しては道路を広げるという感じでイメージして頂ければ分かりやすいと思います。
例えばA地点からB地点に向かう道路があったとします。でもその道路は利用者が多く時間帯によってはとても混雑してしまう事があります。
では、この混雑を解消しより多くの車が通れるようにするにはどうすればいいか?

答えは簡単。道路をより広くすればいい。

ここで勘違いされがちですが、データ通信の速度は『どれだけの時間でどれだけの距離を進むか』の速度と違い、『1秒間にどれだけのデータ量を伝送出来るか』となるので、1秒間に車がどれだけ進めるかではなく、1秒間でどれだけの量の車が通る事が出来るかとなります。

つまりCAとは1秒間に112.5台の車が通れる道路と1秒間に150台の車が通れる道路を1つにして1秒間に262.5台の車が通れる道路にするという感じの技術です。※例えで出した車の数の意味は次の項目でわかります。


CAを少し具体的に

それでは複数の周波数帯を1つにするCAの組み合わせに関してドコモの周波数帯を参考にして見て行きたいと思います。
まずこちらがドコモが使用している周波数帯になります。

ドコモのLTE(4G)周波数帯/帯域幅

Band1 ⇒ 2.1GHz帯 / 帯域幅20MHz
Band3 ⇒ 1.7GHz帯 / 帯域幅20MHz
Band19 ⇒ 800MHz帯 / 帯域幅15MHz
Band21 ⇒ 1.5GHz帯 / 帯域幅15MHz
Band28 ⇒ 700MHz帯 / 帯域幅10MHz
Band42 ⇒ 3.5GHz帯 / 帯域幅80MHz

この中でBand1とBand3の2搬送波を組み合わせた場合下記のようになります。

112.5Mbps(Band1)+150Mbps(Band3)=262.5Mbps
(※道路の例で出したのがコチラ)
そしてこの2波によるCAの組み合わせは『CA_1-3』と表記されます。

続いてBand1とBand3とBand19の3搬送波によるCAを見てみましょう。

112.5Mbps(Band1)+150Mbps(Band3)+112.5Mbps(Band19)=375Mbps
表記は『CA_1-3-19』となります。

ちなみにドコモが2015年3月27日に当時国内最速の下り225MbpsのLTE-AdvandedをPremium 4Gとしてリリースした際は『CA_3-19』『CA_1-21』の2搬送波によるCAでした。
また、搬送波の連続した帯域のことをComponent Carrier呼ぶので、2搬送波によるCAは『2CC CA』、3搬送波によるCAは『3CC CA』と表記します。


ドコモ、CAの歩み

auもSoftBankもCAの技術をLTE通信において活用していますが、上からの流れもありますのでここではドコモに絞ってCAの歩みを追って行こうと思います。

・2CC CA(2015年3月27日開始)

サービス開始当初の組み合わせはCA_3-19とCA_1-21で下り最大225Mbps。

・3CC CA(2015年11月開始)

サービス開始当初の組み合わせはCA_1-19-21。15MHz+10MHz+15MHzの40MHz幅で下り最速337.5Mbpsを実現。

・4CC CA(2017年10月下旬開始)

サービス開始当初の組み合わせはCA_1A-3A-42C、CA_1A-19A-42C、CA_1A-21A-42C。
CA_1A-3A-42CではBand1の15MH幅とBand3の20MHz幅にBand42における連続した20MHz幅と20MHz幅の合計4波を束ねるCAに256QAMを適用する事により下り最大644Mbpsを実現。

・5CC CA

サービス開始当初はの組み合わせは東名阪でCA_1A-3A-19A-42C、東名阪以外でCA_1A-19A-21A-42C。
東名阪ではBand1の15MHz+Band3の20MHz幅+Band19の15MHz幅+Band42の20MHz幅×2の5搬送波を束ねたCAに256QAMを適用する事で下り最大794Mbps、
東名阪以外ではBand1の15MHz +Band19の15MHz幅+Band21の15MHz幅+Band42の
20MHz幅×2の5搬送波を束ねたCAに256QAMを適用する事で下り最大44Mbpsを実現。
2020年8月現在では5CC CA+4×4MIMO+256QAMの組み合わせにより下り最大1288Mbpsと1Gbpsを超えるサービスを展開している。

他キャリアに関してはだいたいほぼ同時期に同じ技術を商用化しています。興味がある方は調べてみると其々のキャリアの特色が分かって面白いかもしれませんよ!?


表記の仕方を少し詳しく

CAの組み合わせ表記に関してもう少しだけ深く説明して行こうと思います。
Band1とBand19とBand21の3CC CAを表記する場合はCA_1-19-21と表記しますが、CA(アンダーバー)数字(ハイフン)数字(ハイフン)数字というきちっとした表記法則があります。
またBand数の後に表記されるアルファベットに関しては下記のような意味があります。

A ⇒ 帯域幅20MHz以下 / 帯域の数1
B ⇒ 帯域幅5~20MHz / 帯域の数2
C ⇒ 帯域幅20~40MHz / 帯域の数2
D ⇒ 帯域幅40~60MHz / 帯域の数3
E ⇒ 帯域幅60~80MHz / 帯域の数4
F ⇒ 帯域幅80~100MHz / 帯域の数5
I ⇒ 帯域幅140~160MHz / 帯域の数6

例えばCA_1A-19A-21A-42Cの場合だとBand1・19・21が帯域幅20MHz以下で帯域数1となり、
Band42が帯域幅20MHzの帯域数2となります。


まとめ

以上のようにCAを用いる事によりLTE通信はより高速化しました。
またCAには通信速度の向上だけでなく複数の周波数帯を同時に活用する事による通信混雑の回避というメリットもあります。

2020年3月下旬に日本でも5Gの商業サービスが開始されましたが、まだまだ十分に5Gを活用出来るわけではありません。(ある程度満足に使えるようになるのは2022年頃かなぁ…)
なのでまだまだ4G LTEの方が安定して活躍してくれるのではないでしょうか?
という事でCAの事を少しでも理解していると4G LTE端末を選ぶ際に役立つと思いますのでこの機会に少し勉強してみてはいかがでしょうか?

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