スマホ用語解説「技適マーク」

スマホ用語解説「技適マーク」

スマホ用語解説『技適マーク』

まず最初に、技適マークはスマホを使う上で知っておいた方がいい用語の1つであり、特に海外版のスマホなどに興味を持ち始め、スマホ沼に片足を突っ込みかけている方は絶対に知っておいてもらいたい用語です。

調べれば技適マーク関連の記事は山ほど出て来ますが、電波に興味津々という方でなければ正直途中で読むのがしんどくなる…というものが多いです。

なので、本ページは読むのがしんどくならない程度に、なんだったら『小難しい部分は読み飛ばしても大丈夫ですよ~』くらいの勢いで要点だけ見れば『だいたいのことがなんとなく分かる』ような記事にできればと思ってます。

技適マークとは

技術基準適合証明マークの略称で、電波法や電気通信事業法の技術基準を満たし、総務省から認可を受けた無線機器に添付されるマークのこと。

現在使用されている技適マーク 昔使用されていた技適マーク

スマホ用語解説「技適マーク」

郵便局のマークに似たこの印を見たことはございませんか?

これこそが技適マークであり、このマークがないスマホ・タブレットを用いて日本国内で通信をすると──

電波法違反となり、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金の対象となります。

一部例外はありますが、そちらは別の項目にて。

技適マークの表示は機器によって異なり、端末にシール・本体に印字・認証画面に表示等いろいろありますが、最近のスマホ等の携帯端末は『端末の認証画面に表示』が主流となっています。

見たこともないスマホ・タブレットを譲り受けたりした場合は、念の為に確認しておいた方がいいかもしれませんね。

正直、この記事はここで完結してもいいくらいなのですが(笑)、流石にもう少し突っ込んで解説しようかと思いますので、もう少しだけ知りたいという方は次の項目にもお付き合いいただければ幸いです。

技適マークを更に詳しく

  • 電波法令で定めている技術基準に適合している無線機であることを証明するマークで、個々の無線機に付けられています。

総務省電波利用ホームページより

なぜ技適マークが必要なの?

現代において飛んでいない場所などないのでは?というくらい地球は電波で覆われております。

そして電波を使った通信ができなければ、生活困難どころか世界中の経済が止まってしまうことでしょう。

では、そんな世界で通信機器がなんのルールもなく電波を飛ばしたらどうなるでしょう?

答えは、電波同士が干渉しあってまともに通信が出来なくなる──です。

交通に置き換えれば分かりやすいかもしれませんね。
交通ルールがなければ事故・渋滞のオンパレードになって車を利用する事が困難になりますよね?

ということで、電波にも事故が起きないようにルールが定められているワケです。

実例:違法電波の影響

勝手に開く自動ドア──これは大昔私がバイトをしていたファーストフード店での出来事ですが、
年に何度かくらいの頻度ではありますが、誰もいないのに自動ドアが勝手に開くということがありました。

皆不思議がっていましたが、ある時自動ドアが勝手に開いたと同時に注文カウンターのマイクスピーカーから凄まじいノイズ交じりの会話が流れ出した事により『トラックの違法電波の影響だったんだなと』気付きました。

自動ドアが勝手に開くくらいならまだましですが、もし命に係わる機器に影響したら…と考えると電波法の必要性を強く感じるのではないでしょうか。

技適マークの対象は幅広いです

基本的にはほぼ全ての通信機器が対象となりますが、通信には幾つも規格があります。

スマホ用語解説「技適マーク」

例えばスマホに備わっている通信規格であれば『回線』『Wi-Fi』『Bluetooth』などがあります。

これらは全て電波法の範囲内の規格であり、技適を通すには全ての規格で認可を受けなければなりません。

また、スマホの回線にはいくつもの周波数帯が使われていますが、実はこれらの周波数帯1つ1つが認可の対象となります。

例えばあるキャリア端末に他キャリアしか使っていない周波数帯(バンド)が対応しており、尚且つその周波数帯が技適を通ってなかったとします。

この状況でその周波数帯を使える他キャリアのSIMを挿して通信すると、やはり電波法違反に該当します。

まぁ、こういう場合はメーカーに指導がいって対応──って形で知らずに使った人が罰せられることはないはずですけどね。

実例として2020年9月にauから発売されたXiaomi Mi10 Lite 5Gが発売当初は対応表に記載されていない他キャリアのプラチナバンドで通信出来る事がSNSの投稿で判明。

その後メーカーがアップデートでそのバンドを塞ぐということがありました。

ちなみにですが、最近の携帯端末であまり見られなくなった赤外線通信は電波法の範囲外で、技適認可の必要はありません。
(技適マークが必要ない電磁波:赤外線・紫外線・可視光線・X線・γ線)

また通信機器以外の電磁波を使うものにも技適マークが必要な場合があります。
例えば電磁波を使う電子レンジも電波法の範囲内の製品となります。

なので技適マークがない製品を日本国内で使うと違法となりますのでご注意を。

余談:電子レンジと通信機器

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電子レンジは2.4GHzの電磁波を使います。
これは国際電気通信連合で定められているのですが、この周波数どこかで見たことありませんか?

そう、無線LANやBlueboothでご存知の周波数帯です。

なのでこれらの通信機器は電子レンジを回すとまれに漏れた電磁波の影響を受けて繋がりにくくなる事があったりすます。

また、電子レンジは2.4GHzの周波数を使う都合上高周波数を遮断する造りになっているので、低周波数帯を使うプラチナバンドに非対応のスマホを中に入れると、アンテナが消えます。

逆にプラチナバンド対応であれば電子レンジの中でもアンテナが立ちます。

もしスマホを電子レンジに入れる奇妙な行動をしている人を見掛けたら「プラチナバンドの検証ですか?」と優しく声を掛けてあげて下さい(笑)

技適マークが無い通信機器とは

上述したように技適マークの承認を得るには総務省の認可が必要ですが、その認可を得るにはそこそこお金が掛ります。

ということは、海外メーカーは日本で流通させるつもりのない製品にお金をかけて技適マークを取得しないですよね?

なので、スマホ・タブレットを含め、海外で発売された電磁波を使用する製品には、一部例外を除き技適マークがありません。

つまり、日本国内で正規流通としてではなく、並行輸入品として流通している海外版の通信機器には、技適マークはありません。

また、技適マークの認証を受けている機器でも、私的に改造すると技適マークの再取得が必要となります。

実は特例が認められています

平成27年5月22日に公布された「電気通信事業法等の一部を改正する法律(平成27年法律第26号)により一部特例が作られ、平成28年5月21日から施行されました。

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特例① 海外からの渡航者対の使用

訪日外国人観光旅行者を増やそうとした2010年代。でも海外から来られた方は基本的には技適マークのあるスマホなんて持っていないですよね?

では違法にならないようにわざわざ日本の通信端末を買わなければいけないのか?

という事で海外から持ち込まれた携帯端末(スマホ・タブレット等)が、日本の技術基準に相当する技術基準(国際標準)に適合している場合は──

  • 携帯回線はキャリア免許の包括範囲内で使用可能
  • Wi-FiとBluetoothは入国日から90日間は使用可能

という感じで特例の対象となります。

ちなみにですが、入国者の国籍は特に定められていません。

入管法だと日本人の場合は帰国となりますが、電波法上だと入国の扱いになるそうです。

※総務省 電波利用ホームページ-海外から持ち込まれる携帯電話端末・BWA端末、Wi-Fi端末等の利用より

特例② 技適未取得機器の実験等での使用

海外の機器を国内で実験に用いたり試験運用したくても、技適マークの取得にはお金が掛るので気軽に取得というわけにはいきません。

これでは日本の技術発展の妨げになってしまいますよね?

という事で海外から持ち込まれた通信機器が、日本の技術基準に相当する技術基準(国際標準)に適合している場合は──

  • 簡単な届け出だけで180日間の使用可能

という感じで特例の対象となります。

ちなみに特例②は個人でも申請可能ですが、携帯電話に関しては申請の手続きが違ってきます。

実験者は使用する回線のキャリアの許可を取得した上で、届け出はキャリアが行うという特殊な流れになります。

これは携帯電話が包括免許であり、キャリアが所持している免許の上で契約者は使用している──というのが要因だと思われます。
まぁ、個人では厳しいという事ですね。

※総務省 電波利用ホームページ-技適未取得機器を用いた実験等の特例制度より

余談:技適マークのない海外スマホを個人で合法的に使う方法はあるの?

結論から言うと2つあるっちゃある…という感じでしょうか。

1つは特例①を利用した方法で【海外から入国⇒90日以内に出国を繰り返す】という方法、

もう1つは【海外キャリアのSIMを挿して国際ローミングで通信する】という方法です。

ただし1つ目は常に海外と日本を行ったり来たりするようなお仕事をされている方でもなければ、金銭的にキツイでしょうし、

もう1つはSIMによる通信はどうにかなりますがWi-FiとBluetoothがアウトでしかもSIMの契約がめんどう…という感じであまり現実的ではないですね。

※参照:海外で買ったスマホはそのまま日本で使える? – 電気通信事業法などの一部改正

電波を飛ばすには免許が必要

スマホ用語解説「技適マーク」

ここまでの記事に免許というワードが何度か出てきていますが、電波を飛ばす機器を使用するというのは【無線局の開設】にあたるので、本来は免許が必要となります。

無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。ただし、次の各号に掲げる無線局については、この限りでない。

──電波法 第4条 情報通信法wiki-dskwikiより

「えっ!私免許持ってないけど普通にスマホ使ってる…まさか私が知らないだけで他の皆は免許もってるの?」なんて思ってしまわれた方、ご安心ください。

上述の電波法 第4条の表記の最後の部分「この限りではない」という部分があるように個人的に免許を取らなくてもよい例外が存在します。

そしてスマホ等はその例外にあたります。

スマホ・タブレットのような通信機器はキャリアが免許を取得しており、その免許には携帯端末をしようする私たちも包括されている。

なので個人的に免許を取得しなくてもオッケーということです。

ということで下記は私達一般人が免許を取得しなくてもよいものと、私達にはあまり関係ないですが免許取得の際に手続きの一部を省略できるものをまとめたものです。

【免許不要局】

特定無線設備のうち、電波法に基づく技術基準に適合していることを示す表示(技適マーク)が付されていることにより、無線局の免許が不要となる設備。
(電波法第38条の2の2第1項第1号)

対象:ラジコン用発振器・ワイヤレスマイク・市民ラジオ・コードレス電話・省電力通信システム・デジタルコードレス電話・PHSの陸上移動局・ワイヤレスカードシステム

【特定無線局(包括免許)】

特定無線設備のうち、電波法に基づく技術基準に適合していることを示す表示(技適マーク)が付されていることにより、特定無線局として包括免許の申請をすることができる設備。

(電波法第27条の2第1号に掲げる設備に限ります)(電波法第38条の2の2第1項第2号)対象:携帯電話及びBWAの陸上移動局等、携帯電話及びBWAの基地局(フェムトセル及び屋内基地局に限る)

【その他の無線局】

特定無線設備のうち、電波法に基づく技術基準に適合していることを示す表示(技適マーク)が付されていることにより、無線局の免許手続の一部が省略される等の特例措置を受けることができる設備。

(電波法第38条の2の2第1項第3号)
対象:携帯電話基地局、アマチュア無線局等

※総務省電波利用ホームページの下記URLを参照
https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/equ/tech/type/
https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/proc/free/
https://www.soumu.go.jp/main_content/000397760.pdf

ちなみに個人で使うような無線機器で免許が必要なものはどういうものかというと、アマチュア無線や1W出力以上の業務用無線機(トランシーバー等)がそれにあたります。

免許なしで使用されていた場合は電波法違反になりますので気を付けましょう。

余談:スマホの通信機能でも免許申請が必要な場合があります

上述したようにスマホは技適マークがあれば包括免許があるので何ら問題なく私たちは通信機能を使うことができるのですが、実は現在1例だけですが例外が存在します。

それはUnihertzAtom XLというスマホです。このスマホはクラウドファンディングによりスマホを開発販売しているUnihertzという中国のメーカーが販売しているもので、日本の技適マークも取得しています。

ただし、このスマホは技適マークがあっても総務省に申請し免許が必要となる通信機能が備わっているんですね。

それはガチのトランシーバー機能です。まぁトランシーバー機能を使わなければ問題はないんですけどね。

最後に

技適マークを難しくなり過ぎないように実例や余談を交えて解説してみましたが、いかがでしたでしょうか?

ガジェット好きな方の間では有名な話ですが、実は海外スマホを国内で使用して捕まったという実例はありません。

『技適マークがないスマホを使ってしまったのでどうすればいいですか?』と総務省に問い合わせた方もおられますが、特にお咎めはなかったみたいです。

だからと言ってもちろん破って良いってわけではありませんが、技適マークには色々と分かりにくい部分があるのも事実。

2010年代はスマホの一般化に加え、外国人観光客誘致と、日本の電波を取り巻く環境が一気に加速しました。

上述したように特例が作られ一応の対策が施されたりしましたが、それでもやはり分かりにくいですよね…

ということで私たち一般市民にも届きやすく分かりやすいルールができる事を切に願いながらこの記事を〆させていただきます。

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