Bluetoothのバージョン

イヤホン、マウス、スピーカーなどなど、私たちをケーブル地獄から解放してくれたBluetoothに関して皆様はどれくらいご存知ですか?

販売現場にいると、バージョンをあまり気にされていない方、誤解されている方が結構多いなと感じます。

今回は『これだけ知っていれば』大丈夫というBluetoothのバージョンに関する要点や注意点を簡単にまとめてみました!!


Bluetoothのバージョン

1997年に初めて発表され、それからのバージョンアップをまとめてみました。

1.0(1999年7月発表)

最初に発表されたバージョン 。

1.0b(1999年12月発表)

1.0に修正を加えたバージョン。

1.1(2001年3月発表)

1.0に修正を加えたバージョンで最も普及したバージョン。

1.2(2003年11月発表)

無線LANとの干渉対策が施され、音質が改善される。

2.0(2004年11月発表)

通信速度が最大3Mbpsに切り替えられるEDR(Enhanced Data Rate)機能が搭載される。

2.1(2007年7月発表)

NFC(Near Field Communication)に対応しペアリングが簡単になる。

3.0(2009年4月発表)

最大通信速度24MbpsのHS(High Speed)機能が搭載される。

4.0(2009年7月発表)

消費電力を押さえるLE(Low Energy)機能が追加される。

4.1(2013年12月発表)

LEにモバイル端末向け電波(LTE)との干渉対策が施され、直接ネットへの接続が可能になる。

4.2(2014年12月発表)

LEの速度が2.5倍に高速化。IPv6/6LoWPANでネットへの接続が可能になる。

5.0(2016年12月発表)

LEに低速化/高速化機能と通信範囲拡大の機能が搭載される。通信の速度は4.xの2倍、範囲は4倍、容量は8倍になる。

5.1(2019年1月発表)

ペアリング中のBluetooth機器の方向探知機能が搭載される。
※2020年1月にバージョン5.2が発表されました


Bluetooth同士の互換性

バージョン間には大きな壁が1つ存在します。
初期のバージョン1.0~3.0は主にマウス・キーボードなどのPC周辺機器やイヤホン・スピーカーなどのオーディオ機器との接続で用いられてきましたが、4.0以降はIoTとの接続を意識しLEという省電力規格が備わりました。

そしてバージョン1.0~3.0は『クラシック』、4.0以降は『LE』と呼ばれるのですが──クラシックとLEには互換性がありません。
つまり『Bluetooth3以前の機器ではBluetooth4以降のスマホと通信する事は出来ない』ということです。
と、説明しているブログをよく見掛けますが実は『Bluetooth3以前と4以降の間に互換性がないのではなく、搭載されているプロファイル間に互換性がないので通信出来ない場合がある』というのが正解です。

例えばパソコン(マスター)とマウス(スレーブ)のような場合、マスターがBluetooth4以降でBluetooth3以前の互換性を持っていれば接続は可能です。

しかしスマホとワイヤレスイヤホン間ではマスターとスレーブが上記のような関係であっても、プロファイルが共通していないと接続する事は出来ません。

ということで、まぁ、そこまでして接続するものを探すのはいらない苦労…だと思いますので、3以前と4以降では互換性がないと思っておいても問題はないかもしれませんね。


Bluetoothの性能差

そしてもう1つの壁が存在します。それは『性能差』という壁で、『間違えたら使えない』というような絶対的な壁ではありませんが、使用する際に大きな違いが出てきます。そしてこの壁はバージョン4と5の間に存在します。

Bluetoothの性能で重要なのは【通信速度】【通信容量】【通信範囲】【消費電力】の4つで、
一覧にもある通りバージョン5.xの通信速度はバージョン4.xの2倍(2Mbps)、範囲は4倍(最大400m)、容量は8倍と大きな差があります。

例えばワイヤレスイヤホンとスマホを接続してゲームをするとします。

通信速度が遅かったらどうなるか?

動きと音にズレが出る可能性が高くなります。
これは敵の足音聞き索敵するFPSや、リズムに合わせて画面をタップする音ゲーなどでは致命的ですよね?

省電力性能が低かったらどうなるか?

バッテリー持ちが悪くなるので外出時にはモバイルバッテリーの携帯が必須になってしまいます。
と、まぁこんな感じなのでスマホとワイヤレスイヤホンは、バージョン5以降で揃えておいた方が良いでしょう。


意外と知らないBluetooth豆知識

最後にBluetoothに関する誤解を2つ紹介しておこうと思います。

Bluetoothのバージョンが新しいから音質が良いな~♪

実は良くなりません!!
なぜならBluetooth全てのバージョンはA2DPというプロトコルで通信するからです。
A2DPはバージョン1.0から使用されているHi-Fiオーディオ規格で、最新の5.xになっても変わっていません。
なので音質も変わらないということになります。

どんな端末にも写真の転送が出来るから整理が楽ちん~♪

実は出来ません!!
Android端末とiOS端末、WindowsとiOS端末、そしてなんと同じApple製品であるMACとiOS端末間でもファイルの転送は出来ないのです。
Bluetoothにはオーディオ用プロトコル「A2DP」、入力装置制御プロトコル「HID」、ファイル転送用プロトコル「FTP」と用途ごとにプロファイルがあるのですが、iOSは「FTP」をサポートしていません。
なのでiOS端末はBluetoothを利用して音楽を聞いたり、マウスやキーボードを使ったりは出来ても、ファイルの転送は出来ないのです。

ということでBluetoothのバージョン等に関して知っておいた方が良いことを簡単にまとめてみました。
これだけ知っているだけでも早々困る事はないと思いますよ!!

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