SIMロック禁止の危険性

~バンド縛りによる弊害~

SIMロック禁止の流れ

2021年5月、総務省は現在SIMロックが掛ったまま販売され、SIMロックを解除するのにいくつかの条件を設けているキャリア端末に関して、解除条件を不要とした『SIMロックの原則禁止』に改正する指針を発表。2021年10月より実施する予定で動いている。

キャリアのSIMロックに関して、詳細は省かせていただきますが、今までに何度か緩和されてきた経緯があります。しかし今回は『原則禁止』──遂になにかしらの特別な理由が無い限りはSIMロックを掛けてはいけないという最終段階まできました。

SIMロック禁止にともなう危険性

これは携帯会社の乗り換えを容易にする為の施策であり、実施されれば確かに現状より遥かに乗り換えやすくなり、ユーザーは大きな恩恵を受けることになります。

ですが、実は現状の携帯端末の【とある部分】を改善せずにそのまま実施されてしまうと、携帯の知識を深く有さない一般的な利用者が携帯会社又は携帯端末を乗り換える事により、端末の【通信が不安定になる、又は出来なくなる】という状況に陥る可能性が高くなります。

では、その【とある部分】とは何か?

それはキャリアが使用する携帯電波の周波数(以下バンド)の違いです。
携帯の電波は総務省の割り当てによりドコモ・au・SoftBank・楽天で使用するバンドが異なります。
そしてキャリアから発売される端末の殆どは自社回線のバンドにしか対応していません。

携帯端末はSIMの対応バンドと端末の対応バンドがマッチする事により初めて安定した通信を実現しています。

しかし、このバンドに関する知識、一般的なスマホユーザーには殆ど知られていません。格安(MVNO)SIMや非キャリア販売の格安SIMフリースマホの文化が根付き、以前よりその辺の知識を持っている人も増えて来ているとは思いますが、全スマホユーザーからすれば極めて少数でしょう。

なので、SIMロック禁止のメリットだけが拡散してしまうと、対応バンドが原因で【通信が不安定になる、又は出来なくなる】という状況に陥るユーザーが多く生まれてしまうのではないでしょうか?

そして、そういう状況に陥ったユーザーの多くは『本体不良』と思われるのではないでしょうか?
そうなると、そのスマホを販売したお店と購入されたユーザーとの間でトラブルになる可能性も大きくなりますよね…

これがSIMロック禁止にともなう危険性です。
以下では更に詳しく説明して行こうと思います。

キャリアによる対応バンドの違い

楽天を除く3キャリアで販売されているiPhoneにはSIMロックが掛っていますが、SIMロック解除後は日本のAppleストアで販売されているものとUI・スペック等一切違いの無い全く同じものになります。

つまり対応バンドも同じなのでSIMロックが掛かっていなければ、契約キャリアと販売キャリが違っても基本的には問題なく使う事ができます。

ではXperiaはどうか?
答えはNOです。

ドコモ・au・SoftBankの3キャリアから発売されたXperia1を例に説明いたします。

キャリア版Xperia1の違い

  • 取扱いカラー数(ドコモ2色、au4色、SoftBank3色)
  • キャリアロゴの位置や有無
  • プリインストールアプリ
  • 対応バンド

細かい違いはあれどSoC・メモリ・ストレージ・カメラ・Wi-Fi・本体サイズに重さといった基本的なスペックは同じですが…対応バンドが違う。

キャリア版Xperia1 4GLTE対応バンド

ドコモ版 バンド1/3/19/21/28/42
au版 バンド1/3/11/18/26/28/42
SoftBank版 バンド1/3/8/11/28/41/42

※国内対応バンドのみ記載

けっこう被っているバンドがあるようにも見えますが、各キャリアがメインに使っているバンドが異なります。

例えばバンド1ですが、ドコモとSoftBankはメインバンドの1つとしているので、基地局(※電波を中継するアンテナ)の数も多いですが、auは以前よりましになりましたが実は基地局の数はそこまで多くはありません。
基地局の数はカバーエリアに直結します。

例えばドコモのSIMをau・SoftBank版Xperia1に差した場合だと、両モデル共にバンド1に対応しており、しかもドコモのバンド1はメインバンドの1つなのでカバーエリアが広いため、都市部であればそこそこまともに通信できます。

ですが、auのSIMをドコモ・SoftBank版のXperia1に挿した場合はまともに通信する事が出来ません。

バンド縛り

しかしもっとも重要なのがドコモのバンド19・auのバンド18(26)・SoftBankのバンド8です。この3バンドはプラチナバンドと呼ばれ【障害物に強い上に遠くまで飛ぶ】という特性があります。

大都市以外では【プラチナバンドを掴めない=まともに通信ができない】と言い切っても過言ではないくらいとても重要です。
そして上記の通りXperia1は販売キャリアのプラチナバンドにしか対応していません。

つまり見た目の問題などではなく、実用レベルで

docomoのXperia1 ≠ auのXperia1 ≠ SoftBankのXperia1

ということです。

これが他キャリアのプラチナバンドに対応させないバンド縛りといわれるものであり、SIMロック禁止にともなう危険性の元凶です。
ちなみにこのバンド縛りがとても強いブランドが2つあります。

国内で人気のAndroidスマホ2大ブランド
1つはXperiaシリーズで、もう1つはGalaxyシリーズ
両シリーズを購入する場合は、対応バンドに注意しましょう!

バンド縛りをしないメーカー

先程例に出したiPhone以外だとPixelシリーズやSHARPのAQUOS。AQUOSシリーズに関しては2018年頃からバンド縛りをしていない機種を徐々に投入、2019年以降発売の機種はdtabを除きほぼバンド縛りがありません。
それ以外だとauから発売される中華メーカーの一部もバンド縛りがない機種を発売しています。

復興メーカー(SHARP)や新興メーカー(OPPO等)はマイナスイメージを少しでも減らしたいのか、キャリアからの束縛が薄いのか…バンド縛りをしない傾向があります。

SIMロック禁止にともなう危険性を回避する為に

しかしバンド縛りのあるメーカーにしてもバンド縛りがないメーカーにしても、今後の動きはどうなるかは分かりませんので、iPhoneとPixel以外のブランドは気を付けるに越したことはありません。

他キャリア端末を購入したい場合は、その端末を販売しているキャリアのHPで対応バンドを調べることができるので、契約キャリアのプラチナバンドに対応しているか──バンド縛りの有無を事前に調べましょう。
そうすればトラブルを回避することができます。

最後に、5Gがスタートしていますがまだまだ主力は4GLTE。
ということで各キャリアの4GLTEのバンド対応表と、各キャリア販売端末の対応バンド一覧のリンクを貼っておきます。
他キャリア販売の端末を購入したい場合は、購入前に照らし合わせてプラチナバンド対応の有無をご確認ください。

4Gバンド
対応表
docomo au SoftBank Rakuten 備考
Band1 docomo・SoftBankはメイン回線の1つ。
auも以前よりはエリアが広くなったが….
Band3 docomoは東名阪のみ、
SoftBank・Rakutenはメイン回線、
auは2019年に追加でエリアが少ない。
Band8 SoftBankのプラチナバンド
Band11 対応エリアが幻と呼ばれるレベル
Band18 auのプラチナバンドでRakutenは
パートナー回線としてauから借りている。
Band19 docomoのプラチナバンド
Band21 docomoの地方エリア用バンド。
Band26(18) auのプラチナバンドであるBand18を内包している。
docomoはMFBIで対応(詳細は後日別記事でまとめます)
Band28 プラチナバンドですが、
あまり広まっていない…
Band41 auはWiMAX2+、SoftBankはAXGP
Band42 キャリアアグリケーション用で
単体通信は出来ない。

各キャリアSIMロック解除対応端末のバンド一覧

※Rakutenは一覧がないため製品のスペック詳細の対応周波数をご覧下さい

関連リンク

スマホ用語解説『周波数帯』

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