魔境と呼ばれるSoftBank SIM

〜世界一（?）融通が利かないSIM～

SoftBankの回線契約をしている方で、SIMカードを使いまわそうとして止めた方がいいと言われたことがある、又は実際使いまわして失敗したという方、けっこう多いのではないでしょうか。
SoftBank以外の回線契約をしている方でもそういった話を耳にしたことがあるかもしれません。
ということで、キャリアSIMの魔境といわれるSoftBank SIMがいったいどれほどの魔境なのかを解説していきます。SoftBank回線契約の方もそれ以外の方も興味があればちょっと覗いてみて下さい。
※有識者向けではなく一般レベルの方に伝わるような解説になりますので、細かい部分をもっと突っ込んで知りたい方は、他のブログ記事も合わせて読まれる事をおススメします。

キャリアSIMの使い回し(旧3大キャリア)

先ずは軽く各キャリアのSIMカード事情をまとめてみました。

ドコモのSIM

iPhoneもAndroidも関係なく使え、同じ通信方式(3G・4G・5G)間であれば問題なく使い回し可能な上に通信方式の世代が違ってもそこそこ融通が利き、更には他社のSIMフリーのスマホでも普通に使える。キャリアの中で1番使い回しが利きます。

auのSIM

iPhone8以降のLTE SIMであればOS関係なく使え、同じ通信方式(3G・4G・5G)間であれば使い回し可能ではあるが、通信世代世代が違うと融通が利かない。ただし最近では古すぎないSIMであれば普通に使い回しができるようになったので、キャリアの中では2番目に使い回しが利く感じに。

SoftBankのSIM

先ず大きく分けてiPhone用SIMとAndroid用SIMとSIMフリーAndroid用SIMが存在し、同じキャリアでありながら互換性に乏しいというありさまです。他社スマホでの使い回しに関してもかなりの制約が存在するのでキャリアのSIMの中でぶっちぎりでややこしい。知識がない状態で使い回しをすればほぼ確実に痛い目にあいます。

ということで、次の項目から気合を入れて詳しく解説していきます！！
要点だけを押さえたいならまとめまで飛んでいただいても構いませんが、最後まで読んでSIM界のドグラマグラと呼ばれるSoftBank SIMを体験していただければと思います(笑)

iPhone用SIM

現在iPhone契約で発行されているSIMタイプはiPhone 専用 nano USIM カードA（C2）で、iPhone6/Plus以降共通のものとなります。

SoftBank販売のiPhone又はそれ以外のSIMロック解除されたiPhone・SIMフリーのiPhoneであれば差し替えるだけで使用することが出来ます。

Andoroidの機種の場合はAPN設定を行う事で差し替えて使用する事ができますが、公式的には動作保証外になりますので自己責任で。

ちなみにSoftBank販売のAndroidスマホにもAPN設定を行えばSIMロック解除されていれば差し替えて使用可能ですが、こちらも自己責任で。

以下の写真はSIMロック状態の異なるSoftBank販売のAndroidスマホにiPhone 専用 nanoUSIM カードA（C2）を差してAPN設定した時のものです。

※全てSoftBank版となります

SoftBank iPhone用SIMのAPN
APN jpspir
ユーザー名 sirobit
パスワード amstkoi
認証タイプ PAP

はい、全てのパターンでちゃんとアンテナが立ち、通信・通話が行えた事を確認できましたね──

ってなんでSIMロック解除されていないPixel3 XLでアンテナ立ってるねん！！(笑)

ということでワンモア。

コチラがSIMロック解除されていないSoftBankのAndroidスマホ(Xperia XZ)にiPhone 専用nano USIM カードA（C2）を差した時のものです。

他社SIMを入れた時と同様SIMロック解除を求める正常(?)な動作をしてくれました(笑)

基本的にはSIMロック解除されたものでしかアンテナは立たないはずなんですけどね…これだからバンクは。

まぁ、イレギュラーはありましたがそんな感じでiPhone用SIMであればある程度の汎用性があることがお判りいただけたと思います。

おまけ

SIMの世代間の互換はどうかというと、iPhone 専用 nano USIM カードA(C)をiPhone6/Plus以降の機種に差してもデータ通信・通話は可能ですが、VoLTE通話は利用できないという感じでそこそこの互換性はあります。(あっ、あとこのSIMの時代はテザリングはオプション扱いだったはずなのでオプションつけてない場合はテザリングできないかもです)

Android用SIM

iPhone用SIMはなんやかんやでそこまで扱いにくくはないのですが、問題はコチラ。
先ずはコチラのAndroido用SIMの一覧をご覧下さい。

SoftBank Android用SIM対応一覧表

SoftBank Android用SIM対応一覧表

機種ごとのUSIMカードの種類について教えてください(SoftBank公式)より

皆様、サッと目を通そうとして「長っ…」て思われた事でしょう(笑)

表はブランド毎に別れているので、取り合えず同じ物を抽出してまとめてみましょう。

1. nano USIMカード
2. micro USIMカード
3. USIMカード
4. NFC nano USIMカード
5. スマートフォン NFC nano USIMカード（2）
6. スマートフォン NFC nano USIMカード
7. スマートフォン micro USIMカード
8. スマートフォン nano USIMカード
9. スマートフォン nano USIMカード（C）
10. シンプルスタイルスマートフォンnanoUSIMカード

その数なんと10種類！！

全て現行で発行されているSIMではありませんが、例えばドコモなんてサイズ違いはあれどiPhone・Android区別なしでFOMA・Xi・5Gの3種類。

しかもSoftBank Android SIMはサイズ差以外なぜ名前が違うのかが不明で、３Gなのか、4Gなのか、5Gなのかさえも読み取れません…

そしてこのAndroid SIM達なんですが──

SIMロック解除されていようがいまいが、

SIMフリーであろうがあるまいが、

SoftBankの機種同士であろうがあるまいが、

基本的には使い回しは出来ないもんだと思っておきましょう！！

正確に言えば使い回し出来る部分もありますが、出来ないと思っておいた方が不幸に見舞われませんので！！

どうしても使い回ししたい場合は【使い回せるのは同じタイプのSIMが発行される機種間でだけ】と覚えておきましょう。

ということで1つ例を上げておきましょう。

Xperia Z3・Z4・Z5ですが、一覧には対応するSIMが2つあります。

• 1つはスマートフォン NFC nano USIMカード（2）
• もう1つはNFC nano USIMカード

これはどういうことかというと、スマートフォン NFC nano USIMカード（2）の発行は2015年が最後で、2016年以降(2019年迄)はNFC nano USIMカードに切り替わったんですね。

で、切り替わったと言っても2016年ならXperia Z5は現役で販売されている機種になるので、切り替え後のSIMでは使えませんとは行かないワケで、NFC nano USIMカードはZ5はもちろんZ3・
Z4でも使えるワケです。

しかし、しかしです…その逆は無理なのです。

NFC nano USIMカードはZ3～Z5で問題なく使えますが、スマートフォン NFC nano USIMカード（2）はXperia X Performance以降のNFC nano USIM対応機種では使えないのです。

書いてる私自身がSIMカードの名前でゲシュタルト崩壊を起こしそうなので分かりやすくまとめますね。

スマートフォン NFC nano USIMカード（2）

• Xperia Z3～Z5まで使えて、Xperia X Performance以降の機種には使えない

NFC nano USIMカード

• Xperia Z3～Xperia5まで使える

と、こんな感じです。

まぁ、スマートフォン NFC nano USIMカード（2）が、Xperia X Performance以降でも使えたらNFC nano USIMに切り替えた意味はないんですが、そもそも何故SIMのタイプを刷新するのかっていうね…

SoftBankの取扱台数的にもXperiaが丁度良かったので例に使いましたが、これがAQUOSになるともう考えるのも嫌になるレベルです。表を読み飛ばした方は戻ってチラッと見てみて下さい(笑)

で、次の項目に繋がるのでもう1つ例を出します。

上に『SIMロック解除されていようがいまいが』『SIMフリーであろうがあるまいが』と書きましたが、実際Android用SIMをSIMロック解除されているスマホや元々SIMフリーのスマホに差すとどうなるか？

通話は出来るがデータ通信が出来ないという状態になります。

例えAPNを設定したとしてもです。

どうやらこれはSoftBankがIMEI制限(※)を掛けているみたいなんですね。

ドコモ・auなんかは対応周波数さえ合致すれば基本的にはAPNを設定さえすれば他社スマホでも使えるのに、何故こんなことをするんでしょうね…ほんと。

ではでは、SoftBankのSIMはiPhone用SIMで無ければSIMフリースマホ等で使う事が出来ないのか？

実はSIMフリースマホ用の第3のSIMが存在するんですね～

※IMEI(端末識別番号)に紐づいた端末でしか通信しないように制限すること

SIMフリーAndroid用SIM

第3のSIM、その名はマルチUSIMカード（F）

SIMフリー専用という特殊なSIMです。

SIIMフリー専用なので例え自社のスマホであったとしても…

SIMロック解除されていないと使用できません！！

いやいやいや…自社製品でさえ要SIMロック解除ってね…(汗)

しかもこのSIMは2020年7月にオンラインショップで契約できるようになりましたが、それまでは直営店でしか発行されてなかったんですよね。

しかも飛び込みで行っても「現在在庫は御座いません」と言われることが殆ど…オンラインショップでもそこそこの日数かかるんじゃないかな？.

で、このSIMなんですが基本的には『SoftBankのAndroid契約をしているが他のSIMフリースマホが使いたくなった』という方の為に存在するようなものなので、Android用SIMからの機種変が主になります。(MNP含む新規契約も可能)

そして、機種変の際は身分証明書・使いたいスマホ(要技適)・現在使用しているスマホが必要となり、プランも変更となります。

いや、格安SIMが当たり前のこの時代にそこまでしてSoftBankに拘る必要性もそうそうないと思うので、存在が全く謎。

ちょっとアレな話になりますが、SoftBankの周波数帯は海外スマホと相性がいいので、一昔前はそういう使い方の為にわざわざ機種変している方もごく少数ですが見受けられましたが、それにしえもプランが変わるくらいならiPhone契約に変えるかY!mobileに変えるかすればいいだけなんですよね…

あっ、そうそう大事なことを書くのを忘れるとこでした！！

この項目をSIMフリー用SIMではなくSIMフリーAndroid用SIMとしたように、
マルチUSIMカード（F）はSIMフリーだったとしてもiPhoneでは通信できません。

いやはや、いやはや、SoftBankさんはどんだけ制限を作るでしょうね…

ということで長々と書きましたが、ここまで読んでいる間に逆にこんがらがってしまった方も多いと思いますので、最後に要点を簡潔にまとめておきます。

まとめ

SoftBankの──

iPhone用SIMはSIMフリー又はSIMロック解除されているスマホであれば使い回し可能。

Android用SIMはSoftBank Androidであり、尚且つ同じSIMタイプの場合のみ使い回し可能。それ以外は諦めましょう。

SIMフリーAndroid用SIMはSIMフリー又はSIMロック解除されたAndroidスマホであれば使い回し可能。

汎用性は──

iPhone用SIM ＞ 超えられない壁 ＞ SIMフリーAndroid用SIM ＞ 超えられない壁 ＞ Android用SIM

注：差し替え可能でもSoftBankの周波数に対応していないと万全に使う事は出来ません。

ということで、SoftBankで回線契約されている方で、SoftBank以外のスマホを使ってみたいなと思っても、iPhoneで契約されている方以外はスパっと諦めましょうね！！

最後に──

全文読んでいただいた方へ

お疲れさまでした！！