スマホ用語解説『LTE-Advanced』


2020年3月27日のドコモを皮切りに日本でも5Gの商用サービスが開始されましたが、同時期ドコモのLTEの速度が下り最大1.7Gbpsにまで達したのをご存知でしょうか?
2011年12月サービス開始時は下り最大75MbpsだったLTE。そこから約8年が経った現在は下り最速1.7Gbpsと約23倍の速度に。
5Gばかりに目が行きがちですが実はとてつもないスピードを実現している4G。
今回は真の4Gと言われる『LTE-Adbanced(以下LTE-A)』の解説して行こうと思います。

LTE-Aとは

今でこそLTE=4Gとして国際的にも認められていますが、本来LTEは4Gを表わす規格名ではありませんでした。Long Term Evolution(長期的進化)という名の通り、第3世代移動通信(3G)から第4世代移動通信(4G)への進化過程の規格、つまり第3.9世代移動通信(3.9G)を表わす規格名でした。

その後いつの間にか国際電気連盟が『もうLTE=4Gでいいよ』となり、現在ではLTE=4Gとなっています

──それではLTE-Advancedとは何か?
皆様もうお気付きでしょう。

第4世代移動通信規格の1つ、つまり真の4Gです。

LTE-Aの技術要素

LTE-AとLTEは何が違うのか?
LTE-Aには複数の周波数帯を1つの伝送路とするCA(キャリアアグリゲーション)という技術が用いられています。
この技術を用いる事によりLTEの速度は飛躍的に向上、頑なに4Gの表記を避けていたドコモもCA導入の2015年に『Premium 4G』というLTE-Aのブランドを作り、以降は正式に4G表記を使うようになりました。

2020年8月現在では5つの周波数帯を束ねた5CC CAや6つの周波数帯を束ねた6CC CAに、情報密度を濃くし1度に多くのデータを送信する事が出来る技術『256QAM』、さらに送信側受信側双方のアンテナ数を増やしデータを同時に送信する事により通信速度を高める技術『MIMO』が導入されています。

『CA』『256QAM』『MIMO』は其々別で用語解説をしていますので、詳しく知りたい方はそちらも合わせてご覧下さい。


歴史

2010年12月にドコモ、2012年9月にauとSoftBankがLTEの商業サービス開始。
そして2013年ドコモがBand3(東名阪のみ)で下り最大150Mbpsを実現し、LTE通信の通信速度を印象付けましたが、その後2014年にauがCAを導入してして以降は急速に通信速度が向上して行きます。
3キャリアのLTE-Aの歩みを下記にまとめてみました。

ドコモのLTE-A(Premium 4G)

・2015年3月2CC CAによる下り最大225Mbpsのサービスを開始
・2015年9月下り最大262.5Mbpsに、その後11月に下り最大300Mbpsに
・2016年6月以降3CC CAによる下り最大375Mbpsを実現
・2017年3月256QAMと4×4MIMOを導入し下り最大682Mbpsに
・2017年8月東名阪では下り最大788Mbps、その他地域では下り最大738Mbpsに
・2018年夏以降東名阪では下り最大988Mbps、その他地域では下り最大794Mbpsに
・2019年春以降5CC CAにより東名阪では下り最大1288Mbps、その他地域では1038Mbpsに
・2020年3月5CC CA、256QAM、4×4MIMOによる下り最大1.7Gbpsのサービス開始

auのLTE-A

・2014年4月Band1とBand18を束ねたCAで下り最大150Mbpsのサービスを開始
・2015年夏ドコモに続き下り最大225Mbpsのサービスを開始
・2016年夏3CC CAによる下り最大370Mbpsのサービスを開始
・2017年5月3CC CAに4×4MIMOを導入し下り最大590Mbpsのサービスを開始
・2017年9月4CC CAによる下り最大588Mbpsのサービスを開始
・2018年9月5CC CA・256QAM・4×4MIMOによる下り最大818.5Mbpsのサービスを開始
・2019年1月5CC CA・256QAM・4×4MIMOによる下り最大1237Mbpsのサービスを開始
・2019年9月6CC CAによる下り最大1Gbpsのサービスを開始

SoftBankのLTE-A(Hybrid 4G LTE)

・2015年8月2CC CAによる下り最大187.5Mbpsのサービスを開始
・2016年11月3CC CA・256QAMによる下り最大350Mbpsのサービスを開始
・2017年3月3CC CA・256QAM・4×4MIMOによる下り最大612Mbpsのサービスを開始
・2018年夏以降4CC CA・256QAM・4×4MIMOによる下り最大774Mbpsのサービスを開始
・2019年夏以降5CC CA・256QAM・4×4MIMOによる下り最大988Mbpsのサービスを開始

もちろん機種側(スマホ側)が対応していないといけませんが、各キャリア4Gでもかなりのスピードが出るようになっています。


まだ暫くはLTE-Aのお世話に

2020年3月日本でも5Gのサービスが開始されましたが、5Gの理想…というより普通に広範囲のエリアで不便なく利用できるようになるまでのレベルになるにも、まだ結構な時間が掛かりそうというのが現状です。
そんな現状では5G向けのサービスも本格的には動き出せませんよね?そうなれば通信速度は4Gで十分お釣りがくるのではないでしょうか?
そして格安スマホや中古スマホを選ぶ際に、その端末がLTE-A対応なのか、またはどの世代のLTE-A対応なのかが分かれば、買った後に困るような事態にはなりません。
ということで、まだ暫くはお世話になるであろうLTE-Aの解説でした。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。