通信障害から生活を守る方法

KDDI通信障害から学ぶ今後の対策

2022年7月2日(土)から7月5日(火)に掛けて、KDDIの通信障害が発生しました。スマホが生活の一部ではなく大半を担う現代において、通信障害はまさしく災害(※)。

しかし災害ではあるものの対策をしっかりとっていれば、大きな被害から生活を守る事ができます。

通信障害から生活を守る為の方法とは?

その方法をメリット・デメリットを含めて詳しく紹介して行こうと思います。

※電気通信事業法により「3万人以上かつ1時間以上」に及ぶ通信障害は「重大な事故」扱いになり、30日以内に報告する義務があります。

過去の大規模通信障害

喉元過ぎれば熱さを忘れる━━

KDDIの通信障害の被害にあい、その時は激しい怒りを覚えたけれど、発生から1ヵ月後には『そんなことあったな』状態の方、けっこうおられるのでは?

油断は大敵です。
ということで、まずは過去の大規模通信障害を振り返っておこうと思います。

キャリア 発生 完全復旧 発生期間 場所 影響 原因
KDDI 2013年4月27日16時1分 2013年4月27日22時18分 約6時間 関東の一部地域 約59万人 基地局制御装置のバグ
2013年5月29日4時30分 2013年5月29日23時13分 約19時間 約56万人
2013年5月30日13時4分 2013年5月30日23時2分 約10時間 約64万人
SoftBank 2018年12月6日13時39分 2018年12月6日18時6分 約4時間半 全国規模 約3060万人 交換機の不具合
docomo 2021年10月14日16時54分 2021年10月14日22時 約29時間 全国規模 約1290万人 サーバーの切替工事
KDDI 2022年7月2日1時35分 2022年7月4日15時 約61時間 全国規模 約3915万人 ルーターの誤設定

ご覧の通り実はKDDIは2013年にも大規模通信障害を起こしています。その後2018年にSoftbank、次いで2021年にdocomo、そして今回はまたKDDI。

もちろん持ち回りなどではありませんが、1周回った感じになり、『他のキャリアは大丈夫だろう』『大企業なら同じようなミスをおこさないだろう』なんて保証はどこにもない事が証明されてしまいました。

通信障害の影響

今回のKDDIの通信障害では通話・ネットに接続できない状況が約61時間半続きました。

音声(VoLTE)での被害⇒約2,278万人
通信(4G/5G)での被害⇒765万人以上

他キャリアユーザーからすれば『へ〜、電話が出来なかった人が約2,278万、ネット使えなかった人が765万人以上いたんだ〜、ご愁傷様』程度かもしれませんが、上述したようにもはや対岸の火事ではありません。

電話が利用できないということは──

急な病気や怪我に見舞われても救急車を呼ぶことが出来ないので、最悪生き死にの問題になるかもしれません。

また今回の通信障害のピークは土日でしたが、平日であればビジネス面にも大きな被害が出ていたのではないでしょうか?

友達との通話ならWi-Fi環境下に行ってLINEを使えば済みますが、病院や取引先への連絡手段としては使えませんからね。

通信ができないということは─

情報検索・動画鑑賞・ゲーム・SNS等、普段当たり前にスマホでやっていることができなくなります。

また、おサイフケータイは通信がなくても支払いが可能ですが、QR決済やアプリ決済はネットに繋がらなければ利用できません。

例えWi-Fi環境下であったとしてもSMS(ショートメールサービス)認証が使えないので、アプリとの連携が出来なくなるなんてことも。

またKDDIは法人の利用に関しては下記の影響が出たと発表しています。

物流関連⇒宅配便の配送状況更新や配達ドライバーへの連絡
自動車関連⇒つながるクルマ向けのサービス利用
行政サービス⇒気象観測点のデータ収集や水道検針
銀行関連⇒店舗外のATM利用
交通関連⇒空港スタッフ用無線機やバスのICカード使用

▼参照:7月2日に発生した通信障害について(PDF)

生活の大半をスマホに依存している現代において、スマホというライフラインが使え無くなるのは陸の孤島にいるようなもの。

では、どうすれば通信障害から生活を守れるか?

2回線契約とは?

シンプルかつ1番簡単な方法──それは2回線契約です。

その名の通り2つの異なる回線を契約して使うことです。

docomo回線+KDDI回線、KDDI回線+SoftBank回線、SoftBank回線+Rakuten回線…(以下略)といった具合です。

2回線あれば1回線に何かあった場合でも、もう1回線を使えば被害を受ける事はありません。(法人の場合は難しいですが…)

2回線は高い?

KDDI通信障害関連のニュースで対策として2回線持ちが紹介された際、『2回線とかお金がかかる対策を紹介するな!!』とプチ炎上がおきました。

もちろん2回線分の契約料金が発生するので月の支払いは高くなる──

かというと実は一概にそうは言えません。

月額1,000円以下の格安SIM最安クラス1回線で頑張っているという方は、流石に支払いを増やさずにもう1回線持つことは難しいですが、それ以外の場合であればプランを見直すことで、月の支払いを上げずに、又は微増、なんだったら下げて2回線持つことも出来ます。

docomo KDDI SoftBank Rakuten
1番高いプラン 5Gギガホプレミア 使い放題MAX 5G メリハリ無制限 Rakuten UN-LIMIT VII
7,315円 7,238円 7,238円
1番安いプラン ギガライト 5G/4G ピタットプラン 5G/4G ミニフィットプラン+ 1,078円~3,278円
3,465円~6,765円 3,465円~6,765円 3,278円~5,478円
オンラインプラン ahamo povo2.0 LINEMO ──
20GB 2,970円
100GB 4,950円
0円~ 20GB 2,728円
3GB 990円

表をご覧いただければ一目瞭然ですが、

無制限プラン>オンラインプラン×2

Rakuten以外の無制限プランと同じ料金でオンラインプランを2回線契約する事ができます。

無制限プランを契約していても、実際そんなにデータ通信を使わない…という方もけっこうおられるのではないでしょうか?

しかもサブ回線をpovo2.0すれば、月のデータ使用量がメイン回線だけで事足りた場合はトッピングする必要がないので、1回線は月額0円で維持できます。

もし家族割引・ネット回線割引等の割引を受けているので簡単に契約を変更できないという場合でも、KDDI回線以外であればpovo2.0をサブ回線にすれば、殆どコストを掛けず(※)に2回線を持つ事ができます。
※povo2.0は180日間トッピングがない場合利用停止(契約解除)となります。

データ通信を殆ど使わない方であれば、格安SIMと組み合わせてもいいでしょう。

もしキャリアショップで流されるままに、又はなんとなくで無制限プランを契約されたのであれば、見直すいい機会かもしれません。

以下2回線の使い方と、其々のメリット・デメリットとなります。

2回線2台持ち

2枚のSIMを2台のスマホに差して使います。

メリット

  • 仕事用プライベート用に分けられる
  • 1台が故障・紛失してももう1台が直ぐに使える
  • 1台がバッテリー切れでももう1台が使える

デメリット

  • 本体・周辺機器・アクセサリー代が2台分かかる
  • 2台持ち運ばないといけない

2回線1台持ち

DSDV対応のスマホに2枚のSIMを差して使います。

メリット

  • 本体・周辺機器・アクセサリー代が1台分で済む
  • 回線の切り替えが簡単にできる
  • データ通信等を一括管理できる

デメリット

  • 本体が故障・紛失した場合に直ぐに使える替えが無い
  • バッテリー切れしたら充電できるまで直ぐに使えない
  • 端末が3キャリア回線に対応していないと使い難くい

2回線2台持ちと2回線1台持ちではメリット・デメリットが逆になるという感じなので、どちらがおススメというわけではないので、好みの方を選べば問題無いでしょう。

近年政府の施策によりeSIMが普及し始め、nano SIM+eSIMのDSDV対応機種が増えており、端末の選択肢は以前より多くなっています。

プリペイドSIMじゃだめなの?

2回線なんて持つ必要なし!!通信障害時にはプリペイドSIMを使えばいい!!

確かにプリペイドSIM(前払いで使い切りタイプのSIM)は本人確認等の必要がなく、コンビニや家電量販店で気軽に購入出来ます。が…

プリペイドSIMは基本的にデータ通信にしか対応していません。

つまり通話・SMSが利用できないということです。

通話可能なプリペイドSIMも存在しますが、電話番号を発行するには本人確認が義務付けられているため、データ通信専用SIMのように簡単に購入することは出来ません。

しかもオンライン販売でかな〜〜りの高額(1万円台半ば)になります。

という感じで、データ通信だけでも急場は凌げるかもしれませんが、病気や怪我等の万が一を考えると、電話が出来ないSIMは当てにしない方がいいかもしれませんね。

▼参考
HISモバイル 音声通話付きSIMカード 14,800円
利用期間31日/データ3GB/かけ放題/ドコモ回線

対策をユーザーに丸投げで良いのか?

ここまで通信障害に対する自衛策として2回線持ちをご紹介してきましたが、正直『なぜユーザー側が対策を練らなければいけないの?』と思いますよね。

総務省はこれに対し通信障害の際に他キャリアの回線をローミングして使えるようにする方向で動いていくみたいです。

ローミング、よく海外に行かれる方ならご存知だと思いますが、日本の携帯電話をそのまま海外で使う場合、提携している現地の回線を借りて通信・通話する方法ですね。

つまり通常A社のSIMはA社の回線でしか通信・通話をすることは出来ませんが、通信障害時にB社あるいはC社の回線を一時的に借りて通信・通話出来るようにするという事です。

この方法が導入されれば全キャリア同時通信障害が起きない限り、大きな問題が起こる可能性はかなり低くなるでしょう。

しかし、このローミングが実現したとしても1つ問題があります。

それがバンド縛りです。

現在キャリアから発売されている携帯端末は他キャリア回線に完全対応していません。つまりA社の端末でB社の回線をローミングしたとしても、極端に繋がりが悪くなるという状況が起こり得るわけです。

国が生活して行く上で必要なあれやこれやをスマホでやっちゃいましょうという風に推し進めて来たわけですから、上記のような問題点も含め早急に対策してもらいたいものです。

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